このコーナーで今までいろんな映画を紹介してきましたけど
僕的ベスト10に入るような映画はほとんど紹介できていなかったりします。
理由はどうせならアマゾンで普通に買えるものを紹介しようということで
やっていたのでアマゾンでは取り扱いが無いもの(中古でしか買えないもの)
はあえて避けていたんですね。
でも結構このコーナーを見て僕がオススメした映画を探しているって方も
多いらしくそれなら今回はアマゾンでの取り扱いは無視してとにかく
「ぴろぴと的にオススメ!」って作品をここで番外編として紹介してみようかなと
思います。
「コックと泥棒、その妻と愛人」
グリーナウェイの作品です。ある高級レストランを舞台にした物語で
いろんな所が凄いので言い尽くせないのですが、第一に挙げるとすれば
色彩にかなり拘っておりまして厨房=緑、ホール=赤、トイレ=白と場面ごとに
テーマ色が設定されていて、服装もテーマ色に合わせていつの間にか変わってたりします。
ホールでは赤いドレスを着ていた人が、トイレに行くといつの間にか
白いドレスを着ていたり、厨房では緑のスカーフをつけていたのに、ホールに
来ると赤いスカーフに変わっていたり…そんな所が面白いのです。
カメラ位置は、舞台劇をそのままカメラで撮影しているような感じで
厨房のシーンからカメラが真横にすすすーっと平行移動していくと
壁を隔ててホールのシーンになったりとか、そんな感じで場面が転換します。
ドリフのコントで、舞台上に家の中が見渡せる半分だけの家があって
壁を隔てて外、玄関、家の中がつながってるみたいな感じでしょうか。
で、何がかっこいいのかと言うと、その場面転換のシーンが凄く良いのです。
厨房からレストランホールへ場面が転換すると色調も曲調も突然ガラっと代わります。
この切り替えがものすごく好きでここだけ何度も見ちゃうのですが
ここは口で説明してもわからないので是非とも実際に見てみてほしいです。
「ベイビー・オブ・マコン」
これまたグリーナウェイの作品です。
映画内で劇が上演されてて、その劇団のパトロンっぽい貴族がその劇を見に来ている
って設定で始まるのですが、そのパトロンが上演されている劇を見ながらなんやかやと
劇に口出しをはじめます。
で、口出ししてるうちに劇の内容がどんどん歪んでいって、アクシデントが頻発して
劇の内容が本当に起こっている出来事なのか、それともそれも含めて全部が劇の内容
なのか、その境界線がどんどん曖昧になっていきます。
この虚構間の境界線がどんどん交じり合いあいまいになって溶けていく様は
筒井康隆のメタ小説を彷彿とさせます。
そんな感じで映画内で上演されている劇がどんどん無茶苦茶になっていくのですが
「ああ、そっかこれ全部ひっくるめて『映画』というひとつの虚構だったんだ」と
思わせてくれる最後の最後にある気の効いた演出がとても好きな映画です。
「ひなぎく」
やんちゃな女の子二人がやりたい放題無茶苦茶やりまくるという映画です。
多分当時の政治的・社会的な隠喩があるのだと思いますが
それ抜いても楽しめると思います。表現が面白いです。
同じチェコ映画ということでシュヴァンクマイエル好きな人はきっと
楽しめると思います。
「田園に死す」
日本版のシュルレアリスムといった感じの作品です。
川を流れてくる御雛壇とか、恐山にいきなりある仏壇とか襖とか
学生服を着た老人の修学旅行とか、丸尾末広の「少女椿」に出てくる
サーカス団みたいな人たちとか、とにかく奇怪なイメージや
禍々しさに溢れた邦画最高峰の一つと思います。
「アスパラガス」
アスパラガスのうんちをする女性のシーンから始まって
全編性的なメタファーだらけのスーザンピットのアニメ作品です。
凄まじく毒々しい色使いで女が窓をあけるとでっかいアスパラガスが
窓の外に何本も立っていたりとイメージももちろんもの凄いのですが
音楽もオーケストラのチューニングみたいなヴぃーーーーーーーン…みたいな
感じの音楽がずーっと続いていてかなり脳みそを揺さぶられる幻覚作品です。
表題作のほかにも「ジェファーソンサーカスソング」こちらは実写なのですが
カクカク動く子供たちがとにかくグロくて凄まじくて涙がでます。
「ホーリー・マウンテン」
あの「エル・トポ」のアレハンドロ・ホドロフスキーの映画です。
僕は「エル・トポ」よりこちらの方が大分好きです。
内容は本気なのかギャグなのかわからないような変な映画で
みんなで修行してある聖なる山を目指すというもので
オチが大変に評判の悪い映画なのですが、僕はああいうオチ大好きです。
銃で撃たれて死んだ人の傷口から鳥がパタパタパタと飛んでいったり
自分の眼を外して少女に握らせたり、どうやっても思いつけないような
すばらしいイメージがあっちこっちに散りばめられていてとにかく凄い映画です。
「マルホランド・ドライブ」
デビッド・リンチです。デビッド・リンチのカルト映画と言えば
「イレイザーヘッド」が有名ですが個人的に「イレイザーヘッド」は
嫌いではないのですがストーリーが基本無いので悪夢的なイメージの羅列が
肌に合わないとちょっぴり退屈かもしれません。
僕は女がダンスをしながら胎児を踏んづけてるシーンは結構好きなのですが
それ以外のシーンはあまりガツンとは来ず。
一方「マルホランド・ドライブ」は「イレイザーヘッド」のような
悪夢的イメージ重視の作品ではなくてどちらかというと
ストーリーを重視した作品なのでストーリーを楽しめます。
ストーリーは確かに難解な部類に入るのですが、かなり計算して
作られているようで全部のシーンに意味があるというかパズルを解く
みたいな感じで楽しめる映画です。
「ツィゴイネルワイゼン」
多分解釈は不可能なのだと思います。
なんとなく「ゴダール」(特に『探偵』とか)っぽい感じ。
いろいろ出来事は起こるのですが解釈を拒否しているというか
意図的に解釈できないように作られている(と思うので)
何回見ても上手く消化できません。
不条理なら不条理でそのまま「意味不明な作品」として丸呑みもできるのですが
この作品は一見不条理という体裁はとってないので丸呑みするにも抵抗があり
かと言って解釈を試みようとすると拒否されるので中間地点にぶらりとぶら下がったまま
見終わった後もずーっと「もやもや」が永遠に死ぬまで残ります。
「簡単に消化されてたまるか!」「消費されてたまるか!」という
そんな主張を感じる鈴木清順の作品です。
変な映画ですが一度は見てもやもやを味わってみてくださいませ。
「邪眼」
ル・デルニエクリによる破壊的アートアニメです。
内容的にはダダっぽいコラージュアニメなのですが
ゴキブリとか性器とか内臓とかグロ死体とかそういうの
ばっかりを素材にコラージュしてアニメを作ってます。
音楽は僕の大好きなバンド「ドラジビュス」が担当してて
「音楽」というより「騒音」という感じですが最初から最後まで
ガンガンガンガンと頭が痛くなるような典型的な前衛アート系作品と
いう表現が一番ピッタリ来る作品かもしれません。
特に僕が一番好きなシーンはフレドックス&レティシャの担当シーンで
ゴキブリだらけの家に毒々しい洗剤をまいてゴキブリが死滅するシーン。
「ストリート・オブ・クロコダイル」
もちろんシュヴァンクマイエルも好きなのですが
僕はどちらかというとクエイ兄弟の方が好きだったりします。
「ストリート・オブ・クロコダイル」はクエイ兄弟による
パペットアニメーションでとにかく映像が凄まじいのです。
表題作「ストリート・オブ・クロコダイル」ももちろん好きですが
一緒に収録されている「失われた解剖模型のリハーサル」が特に好きで
不気味な顔だけの人形が自分のイボを弄くってるばっかりの作品なのですが
こんな奇怪なイメージはそうそう思いつけません。