タランティーノの「デス・プルーフ」をご紹介したいと思います。

映画批評・感想とかを読むとかなり「退屈」「何コレ!?」みたいな意見も多く

かなり評価の分かれる映画のようですが、個人的にはかなりツボな映画であります。

コンセプトは低予算でストーリーも馬鹿馬鹿しくて、テープの質も悪くノイズだらけ

ストーリーで悩むことも考えさせることも無い、ただ消費されるだけ時間潰しの

ためだけの映画…そんなかつてグラインドハウスで上映されていたような

超Z級映画を再現しようというコンセプトで制作されたのがこの「デスプルーフ」です。

外国では「プラネット・テラー」との二本立て同時上映だったらしく

「デスプルーフ」と物語が若干交差するシーンもあって両方見ればそれなりに

楽しめるのですが、個人的には「プラネット・テラー」はあまり好きではありません。

「プラネット・テラー」も同じコンセプトで作られている映画ですが

「デスプルーフ」と比べると映画の文法にきちんと沿ってるというか

かなり普通のちゃんとした映画になっちゃってるのでちょっとインパクト弱いです。

その点「デス・プルーフ」は何もかもが掟破りのハチャメチャ映画で斬新で

非常に見ていて面白いです。

物語は大きく前半パート・後半パートに分かれるのですが

物語冒頭からずっとメインで登場していた女性数人組全員を

ある男が残酷な方法で殺したところで、前半パートが終わります。

それまでは女性同士のどうでもいいような会話が延々と続いてまして

物語が全く動かないので、どんなジャンルの映画なのかも全く分からず

大多数が眠くなっていたところで、ここでやっと「ホラー映画だったのか!」

「殺人鬼モノか」「あの男がどんどん殺人を犯していくのか!」と分かります。

…で、後半パートが始まるのですが、今度はその男が殺人鬼だと分かっているので

その男がまた女性数人組に目をつけて、遠くから様子を伺っているシーン等では

前半パートのラストを思い出しドキドキしてくるのですが、後半パートは

今度は物語全体の整合性を完全に無視し前半で設定したジャンル分けも無視し

何がなにやら滅茶苦茶な方向にフリーダムに進んで行ってしまいます。

後半は見ていて「え?ホラーじゃないの!?」「何でそうなっちゃうの!?」

「脚本書いた人頭大丈夫!?」と思わず口走ってしまいそうになる映画の文法を

無視したハチャメチャぶりで、この前半・後半で物語のジャンルがガラっと

変わるというのは、多分タランティーノ的にはグラインドハウスの

前半と後半すらまともに繋がっていないような享楽的な楽しみだけを重視した

何の主張も無い粗悪な脚本のZ級映画のイメージを忠実に再現しているのだと

思いますが僕はその部分が非常に面白く最高にツボにはまりました。

そして衝撃のラストシーン「もうここで予算が尽きたから映画終わり!」とでも

言いたげな「THE・END」のシーンは本当に爆笑ものです。

そのシーンだけ楽しければOKというグラインドハウス魂みたいなものが

ヒシヒシと伝わって来ます。

「デス・プルーフ」は僕的には物語の形式とかジャンルとかそういうものを

色々と考えさせてくれるとても参考になる良い映画でした。