2026.09.17 / 畑と暮らし

畑で苗を植え、スマホで原稿を直す

畑で苗を植え、スマホで原稿を直す
画像をタップすると原画を大きく表示します。日付:2026-09-17。

画像内の文章

主な文章の文字起こし・抜粋。画像全体は上の原画をご覧ください。

関係のない医師まで誤解されないよう、表記は慎重に。
地這いきゅうりは何が違う?横へ這わせるか、上へ誘引するか。
銃声は響く。それでも猪は来る。
畑には、野菜だけでなく、言葉と地域の問題も入り込んでくる。

note掲載本文

対応するnote記事の本文です。Instagramのキャプションとの同一性は未確認です。

早朝、地這いきゅうりの苗を植えていると、スマートフォンにLINEが届いた。noteの記事にある「医師」という言葉を、可能な限り「歯科医師」に直してほしいという連絡だった。今回取り上げている問題の関係者は歯科医師であり、単に「医師」と書けば、関係のない一般の医師まで当事者であるかのように受け取られる恐れがある。表記には慎重になってほしい、という趣旨だった。

もっともな話である。「医師」と「歯科医師」は、日常会話ではひとまとめにされることもあるが、資格も制度上の位置づけも異なる。文章を短くしようとして肩書を省略すると、かえって問題の範囲を不用意に広げてしまう。同様の注意点として、「大島郡医師会」と「大島郡歯科医師会」は別の会であり、曖昧に「周防大島の医師会」と表記されるといろいろ問題があるのだ。
特定の職業や地域の問題を扱うときには、誰について書いているのかを正確に限定しなければならない。

そこで私は、片手で苗を植えながら、もう片方の泥のついた手でスマートフォンを操作し、noteの文章を修正した。畑の真ん中で「医師」を「歯科医師」に置き換えていく。きゅうりの根鉢には土を寄せ、文章の主語には正しい肩書を寄せる。農作業と原稿整理が同時進行する、なんともシュールな朝になった。

地這いきゅうりは、普通のきゅうりと何が違うのか

修正作業を終え、あらためて地這いきゅうりの苗を見る。「秋きゅうりといえば地這い」と昔から聞くが、なぜ秋には地這いなのか、その根拠まではよく分かっていない。

地這いきゅうりと普通のきゅうりは、植物としてまったく別のものではない。大きな違いは品種の性質と栽培方法にある。一般的なきゅうりは支柱とネットを立て、つるを上へ誘引して育てる。一方、地這いきゅうりは、つるを地面へ広げて栽培しやすい性質を持つ。大がかりな支柱を必要とせず、強い風で設備が倒れる心配も少ない。台風や秋風の影響を受けやすい時期には、理にかなった方法なのだろう。

ただし、地面を這わせれば管理が楽になるとは限らない。葉や実が土に近いため、雨による泥はねや病気、ナメクジなどの被害が出やすい。実の位置も見つけにくく、土に触れれば曲がったり、傷んだりすることがある。敷きわらをして、つるの方向を整え、葉の裏側まで観察する必要がある。

地這い向きの品種をネットへ誘引して育てることもできるという。結局のところ、「地這いきゅうりだから必ず地面を這わせなければならない」というものではない。横へ伸ばすか、上へ伸ばすか。畑の広さ、風の強さ、病気の出方、管理に使える時間を見ながら決めることになる。

昼は銃声、夜は猪の足跡

9月に入ってから、朝6時ごろから夕方まで、山の方から銃声と思われる音が聞こえる。猪などの捕獲活動が行われているのだろう。ところが、夜になると猪は相変わらず畑へ入ってくる。翌朝には土が掘り返され、畝の周囲に新しい足跡が残っている。

これだけ銃声が聞こえるのに、なぜ被害は止まらないのか。農家の側から見れば、そう疑問に思うのは当然である。

ただし、銃声の回数だけで捕獲の効果を判断することはできない。どこで活動が行われ、何頭が捕獲され、地域にどの程度の個体が生息しているのか。さらに、捕獲によって猪の移動経路が変わり、別の畑へ追い出されている可能性も考えなければならない。効果を確かめるには、捕獲数だけでなく、農地への侵入件数や被害面積がどのように変化したかを見る必要がある。

農家が知りたいのは、遠くで何発の音がしたかではない。その結果、畑の被害が減ったのかどうかである。捕獲活動を批判したいわけではない。危険を伴う仕事を担う人がいるからこそ、地域の農地や生活が守られている面もある。それでも、毎晩のように足跡が残る畑に立てば、「駆除の効果は、いったい畑のどこに現れているのか」と問いたくなる。

朝はきゅうりの苗を植えながら文章を直し、昼は地這い栽培の意味を考え、夜の畑では猪の気配を警戒する。畑に入ってくるのは、野菜の病気や害虫だけではない。言葉の問題も、地域の仕組みも、人と野生動物の境界も、いつの間にか畝の間へ入り込んでくるのである。

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出典:【周防大島百姓記】畑で苗を植え、スマホで原稿を直す――百姓記・2026年9月17日 ↗

当時の記録として収録しています。日付は画像内の表記です。